第366号:採用担当者の働き方改革

新年おめでとうございます。企業人事、大学教職員にとって「問題」となる2018年が始まりました。人口減少は、受け入れ難いことですが動かしがたい事実ですね。政府が「一億総活躍社会」を掲げて「働き方改革」を推し進めようとするわけです。今年はこの影響が日本社会の至る所で現れてくるのを目の当たりにすることでしょう。そして、それは労働集約的業務に従事する採用担当者も同じです。

私が思い出すのは、前職で人事部に異動になり、初めて採用活動部署に出社した日(1995年4月)のことです。当時の人事部は20人弱の部員がおりましたが、早朝からオフィスの電話が鳴りまくっており、部員総掛かりで電話応対しています。営業部から異動し来た私が、顧客に何かのトラブルが発生したのかと驚いて立ち尽くしていると、若い採用担当者が「鈴木さん、かかってきた電話を受け付けてこのリストに学生の名前と大学名と電話番号を記入して!」と早口で伝えてきました。IT全盛の今では見られなくなった光景ですが、企業説明会の電話受付だったのです。郵送で送ったDMを人事部で受け付けていたのですね。この騒動は業務時間中の朝から晩まで2~3日間続きました。

90年代後半から企業の採用広報はWebサイトによる告知やセミナー受付に移行して就職ナビサイトも増え、このような仕事はなくなりましたが当時は立派な正社員の仕事として存在していたのは今でも信じられません。そして、いまこれと同じような仕事の変化が起きようとしています。

実際に採用担当者自身が自分の働き方に疑問を持ち、新しい働き方(起業パラレルキャリア)に向かう動きが増えてきています。また、既に報道加熱とも言えるAIの衝撃もあります。こちらは採用担当者の環境を変えて仕事そのものを消滅させてゆくでしょう。

こうした働き改革のもっとも困難なことは、これまでの延長線上の経験で対応できるものではないことです。起業にしてもAI対応にしても、人事関係の知見(ちなみに採用活動しか経験のない採用担当者は意外と人事労務の仕事を知りません)だけでは無理で、経営学や統計学の知識、また実践知がないと実現できません。「改革」というものは、過去にない非線形の変化・変身をすることですから。

こうした経験をしてきた私見では、正直、一般企業の採用担当者がどの程度対応可能なのだろうと思います。政府が進める「働き改革」が困難な理由と同じです。しかし、このような挑戦をしていかなければ、2018年問題の津波にのみ込まれることになるでしょう。それは大学関係も同じです。

大変な時代の幕開けではありますが、ピンチはチャンスです。今の仕事が無くなる反対に、必ず新しい仕事も生まれてきます。そうした挑戦の年になれば良いと思います。

▼参考URL:

・株式会社HARES コラム「採用担当者にこそ、働き方改革を」2017/06/22

http://hares.jp/2017/06/22/parallel-preneur-ishikura/

・株式会社ディー・サイン 2017/7/25(DE-SIGN INC.)

https://www.workstyle-box.com/single-post/2017/07/25/AIによる新卒採用~働き方改革に向けて活用~