5月の末になり、採用担当者の今年の見通しもついてきました。やはり順調に目標人員を確保できた企業は少なく、今後の追加募集をどうするか悩むところが多いです。(もっとも、現時点でまだ「確保」できたと安心している企業は多くありません。まだ公務員・大学院試験等の伏兵が控えておりますので。)そのため、これから採用活動を続ける企業は多くリターン・マッチのチャンスがあるわけですが、様子を見ていると学生も企業も”就職・採用活動疲れ”が見えるようです。
今シーズン、採用需要増大の影響を大きく受けたのは、業界中堅企業や、知名度が低い産業用途分野の企業でしょう。通常であれば大手で惜しくも不採用になった学生が今年については殆ど落ちてきませんし、学生の意識もホリエモンの影響なのか、ベンチャー指向から大手指向になっているようです。
そのためこれから募集をかける企業の最大の悩みは如何に新たな母集団を作るかなのですが、これからどんな手段を使っても今以上に良い学生が応募してくることは考えにくく、今シーズンの新卒採用を手仕舞いして中途採用に視点を切り替えるところもあります。
翻って今の学生の就職活動を見ていると、昨秋から継続しており流石にもう確定したいと思う学生が多いことでしょう。良い条件がこれから先にあるかもしれないと思いつつも、いつまでも流動的な状態にあるのは辛いことです。しかも、第一希望でない企業から内々定を得たら遠慮(辞退)しつつ走り続けるプレッシャーは相当なものだと思います。
つまり、今は内定ゴールをもう少し先に伸ばしたい企業が居ても、ランナーの学生は「もう勘弁して下さいよ。」と脚を止めようとしている構図になっているようです。(一方で、そろそろ走り出そうかという学生も居ります。)
マラソンは日本人の得意種目ですが、それには強い精神力、体力のペース配分が不可欠です。更に現代では選手個人の努力だけではなく、選手をサポートするチームも求められるようになってきました。
長期化した就職活動がマラソンと同じなら、今の学生を支援するチームは大学の就職課(キャリアセンター)なのでしょう。また、マラソン大会を主催している企業も学生を長く走らせたいなら、途中で給水地を設けたりして大会運営のスポンサーになることが必要でしょう。ゴールを設定して待っているだけでは学生がゴールまでたどり着けないかもしれません。
もっとも疲れ果てている採用担当者と学生を見ていると、この壮大なマラソン大会に意味があるかどうかはまた別の問題です。できることならお互い感動的なゴールシーンを見たいものですが。