第9号:就職に関するルール

10月15日に日本経団連から「平成15年新規学卒者に対する採用・選考に関する倫理憲章」が出されましたが、もう既に多くの企業は臨戦準備態勢に入っています。就職協定が廃止されて数年が経ち、この是非について改めて考えさせられるようになりました。

つい先日、企業人事部の採用担当者との情報交換会の場で、ある企業の方がゆきすぎた早期化の防止のために就職協定を復活させるべきだ、と憤慨されておりました。この会社の関わる薬学・化学系の分野では、平成15年卒の学生に外資系企業からはもう内定が出ているそうなのです。

私自身は就職協定の復活はあまり賛成ではないのですが、現状の大学の混乱した様子を見ると、復活も仕方ないのかな、と思わされることもあります。今回の倫理憲章では、選考活動を卒業年次になるまで行わないことをハッキリ明示しておりますが、現時点で多くの企業が来季の選考活動のスケジュールを組んでしまっていますし、4月から選考開始となると新学期の授業単位選択やゼミの開始の大切な時期とまともにぶつかってしまわないかと心配です。

この問題の本質は「新卒一括採用」という日本独特の雇用慣行にあるのではないでしょうか。学生にとっても企業にとっても、この締め切りがあるためにドンドン「早い者勝ち」の気持ちになるのでしょう。企業の募集要項の「○○年卒業見込み」というのは、ある意味の年齢差別ではないかと思います。これが「○○年卒業見込み、および卒業後2年以内」となって既卒の学生も一緒になれれば、いわゆるミスマッチ就職をされた学生さんが、一度、社会に出てからやり直すことも容易になりますし、「早期化」が逆に「遅延化」になるのではないかと思います。

日本の新卒一括採用は、人材の企業内育成を重視する経営風土と表裏一体なのですが、多くの企業が従業員の自立を求めるようになったいま、採用担当者も目線を括対応から個別対応に変えて行かなければならないのではないでしょうか。

第8号:学生主催の就職イベント(学生コミュニティ-1)

ここ数年顕著になってきた学生の動きに、後輩の就職活動を支援する学生コミュニティがあります。就職活動を終えた4年生が主体となって、これから活動を始める3年生向けにいろいろなアドバイスを行うものですが、その内容や意図にはいろいろなものがあります。

最近の学生は同じ大学の仲間だけでなく、他大学の同じ志望をもった仲間と就職活動を行う傾向があり、無数のコミュニティが生まれていることは、企業の人事部もわかっています。インターネット時代の申し子のような学生たちの行動ですね。かつては同じ大学のサークルから1日に10人も面接応募にやってこられたことから考えると、学生の協力体制も、大学外にドンドン広がっています。

こういった学生の活動で注意したいと思うのは、先輩学生の使う言葉の「ホンネ」という言葉です。学生の方々は、「ホンネ」と「タテマエ」というデジタル的な視点で企業を判断しがちですが、ここに盲点があります。先輩学生は多くの貴重な体験談を後輩に伝えてくれて、OB訪問と同様な企業の現場情報を伝えてくれます。しかし、ご存じのとおり「ホンネ」というのは、企業の社員ごとに個人の判断が入るモノで、それを伝える先輩学生も多様な受け取り方を致します。

大切なことは、「ホンネ」と「タテマエ」(企業セミナーの内容はタテマエだとは言いませんが、大きな企業になるほど、現場の情報を伝えきれないのは事実です。)を総合的に判断することでしょう。こらからの就職ガイダンスで、多くの大学が卒業生や4年生を招いて体験談を話されると思いますが、就職部の方からは、そういったホンネ情報(ミクロ情報)と、タテマエ情報(マクロ情報)を総合的に判断することをご指導頂けたらと思います。