第66号:企業の学生呼び出しパターン

早いもので4月も中盤を過ぎ、大手企業の採用選考もドンドン進んでいます。まだ今年の戦線の傾向を判断する時期ではありませんが、企業が学生を呼び出すタイミングを見ていると、業界毎の特色が表れていてなかなか面白いものがあります。

・金融系(特に銀行)・・・4月に始まり一気に呼び出し。有望な学生は3日間連続で呼び出して短期決戦内定出しをすることも。(お上が絶対型呼び出し

・製造業・・・倫理憲章をしっかり守り4月1日に始まるが、真面目に集団毎に管理して1週間おきに選考呼び出し。なので、全部終わるのに3週間位かかることも。(生産管理型呼び出し

・総合商社・・・4月に入ったら自信満々マイペースで呼び出し。4月後半頃に余裕をもって内定出しをして、学生のもっている他社の内定を辞退させる。(殿様商売型呼び出し

・ベンチャー系・・・2~3月から早期決戦で出会った学生はすぐに面接に呼び出して結果を出す。内定辞退されてもへこたれずに説得、またはすっぱり諦めて次の応募者を呼び出す。(ホリエモン型呼び出し

こうしてみると、それぞれの業界文化というか企業のカラーというか、上司からの呼び出され方や、仕事の進め方もこんな感じかもしれません。知らないうちに企業の仕事スタイルが採用スタイルにも現れているのでしょうね。

ところで、選考に合格した応募学生に企業が結果を伝えて次の選考に呼び出す手段は今でも電話が中心です。電話は一度のコンタクトで結果通知と次の面接の出席確認がとれるのでもっとも効率が良いのです。最近はインターネットでのメールで連絡をする企業も増えてきましたが、結果通知メールを発信しても学生からの返事がないと面接スケジュールが確定できないので、却って非効率になる場合があります。(最近は面接日時をいくつかの候補の中から選べるシステムもありますが。)

最終面接で役員や人事部長等のオエライ様の面接スロット(面接に呼び出す時間割)に穴を空けてしまって時間を無駄にするのは恐ろしい事態なので、採用担当者は必死に面接スロットを埋める努力をしているのです。

携帯電話の無い時代の電話連絡では、学生の不在時には家族への伝言、一人暮らしの学生へは留守番電話にメッセージを残していました。ご家族の方が出られたときは、そのご家庭の様子が垣間見えてホノボノしたものです(親御さんから「どうぞ娘を宜しくお願いします!」と頼まれたりして・・・)。

いまは携帯電話への連絡が中心になりました。企業からの電話は通常、発番号非通知で連絡しますので、この時期は非通知の着信記録に「どこの企業からだろう?」と学生は疑心暗鬼になっておりますね。無機質な世の中になってしまったものです。

 

第65号:採用選考の「合格」と「内定」

4月の1週間が過ぎました。今年の桜は遅咲きですが、企業の内定出しも同様でチラホラ開花の便りを聞くようになりました。花の命は短いですが、就職内定桜の花見時期は一斉に満開ではなく、ちょっと長目ですね。桜の開花予想や桜前線の情報は天気予報で聞けるのですが、就職内定の動向のリアルタイム情報があれば採用担当者も是非聞きたいものです。自社の桜がいつ満開になるかとても気になるものですからね。最近は、開花できずに終わることもありますし。

少し早く咲いた桜、いやもとい、いくつかの内定を戴いた学生の話を伺っていて「第一希望」と言わないといけないか?という相談がやや増えてきてきます。昔から多い相談なのですが、最近はこれに対してのアドバイスも難しくなってきました。

多くの企業は、以前ほど学生の志望度合いを気にしなくなってきて、本人の実力が理解できて将来性高しと判断すれば、内々定を出すようになってきましたが、一度、内々定を出したら、いきなり企業と学生の立場は180度逆転し、学生がアドバンテージをとってしまいます。そのため企業も内定の出し方にいろいろ策を講じます。

もっとも多いのは、採用選考の考合格」と「内定(内々定)」を区別するやり方です。最終選考が終了した時点で、選考合格の結果を伝え、そこで改めて入社の意志を確かめます。そこで「お世話になります。」という言質が取れたら内定を伝えますが、もしそこで「まだ迷っています。」という発言が出たら、「内定保留」ということを伝えます。

本気でその学生を採用したいと思う企業は、学生が回答を保留する原因を丁寧に聞き、それに対しての相談にのったり、企業の理解不足であれば社員との面談を設定してくれたりします。大量に学生を採用する企業や人気企業では、日限を切って回答を求めたり、逆に放っておかれたりしますので、こんなところからもその企業のカラーがわかります。

一方で注意したいのは、上記と似たような対応でありながら、選考合格の結果を伝えずに学生の選考保留を長期に渡って引き延ばす企業です。選考途中で第一希望でないとわかると「企業理解が足りないね。社員との面談を設定しましょう。」ということで、数回に渡って面談を続ける企業があります。企業はその間、もっと有望な候補者が居ないかを探しています。

志望動機の書き方から面接テクニック、そして内定を貰うまで、学生の相談もますます高度で複雑になってきましたが、企業採用担当者も大学就職課職員もよりますます頑張らなければなりませんね。これからの1ヶ月は山場ですが、皆様のご健闘をお祈り致します。