第118号:今年最初の就職セミナーにて

いよいよ就職世代の交代時期のようですね。先日初めて3年生対象の就職セミナーに行って来ました。期末試験直後でしたが大勢の参加者でなかなかの盛況でした。初回のセミナーなので、まずは就職活動全般を理解して貰うことが目的なのですが、特に重視したのは就職活動を多面的に理解することです。企業の採用選考の場では、自分自身が外部基準によって多面な評価に晒されますからね。

 

「自分軸」、「鉄則」、「ホンネ」・・・最近の学生が就職活動で好んでよく使う言葉ですが、不安定で先が見えない活動の中で、「絶対的」にぶれないものが欲しいのでしょう。(もしかすると、就職ハウツー本のタイトルの影響かもしれませんが。)しかしながら、就職活動においてはそういった絶対的な回答が存在しない点が悩ましいところです。企業人事の採用担当者自身も、この時期は「求める人材像」は何だろうか?と見直しながら来季の戦略を考えているのですからお互い様です。

 

余談になりますが、採用担当者も自分の所属する企業の「求める人材像」がわからなくて悩むことが本当にが多いです。採用コンサルティングの仕事をしていると、社内会議で延々とこれについて議論している企業がありますが、最後に落ち着くのは「一緒に働きたくなる人材」とかになったりします。

 

ともあれ、社会へ出る準備を進める学生にとっては、まずは「絶対的」な価値基準の世界から、他社の価値観を受け入れて「相対的」な価値基準の世界へ進んで貰う必要があります。「自分軸」に加えて「他人軸」もあるんだな、と気づいて貰うわけです。就職セミナーでそれを伝える場合、一つの課題に対して多様な立場の回答や見方を提供することが一番です。

 

そこで今回のセミナーでは参加学生からの質問に対して、4年生(企業内定者)、卒業生、企業採用担当者、そして場面に応じて大学就職課職員の方からもコメントを戴きました。一般の就職セミナーでは(学生だけで運営するものは特に)学生の質問に対して一つの見方を提供するものが多いのですが、同じ質問でも学生と採用担当者では異なりますし、ホンの1年でも社会人になった卒業生と現役学生ではものの見方に雲泥の差のあることも多いです。今回はコメントからコメントが生まれて、そこから質問がまた生まれ、最後まで質疑応答が途切れなかったのは印象的でした。

 

また、このように多面的な見方ができるようになるとストレス耐性も向上します。ストレスの原因は、自分の思うとおりにいかないということが大きいです。しかし、世の中は自分のためにできていない、ということを理解できるようになると現実的な対応に目が向きますし、多面的な見方(手段)を身につけていれば、切羽詰まってしまうことも少なくなるでしょう。

 

夏休み中に学生たちが多様な経験をして、多面的な見方ができるようになり、タフに就職活動を迎えることができるように祈っています。就職ご担当の皆様も夏期休暇でリフレッシュされますように。