第50号:採用担当者とキャリアカウンセラー-2

昨年、このタイトルで採用担当者とキャリアカウンセラーの似て非なる点を書きました。その後、私の主催するProfessional Recruiters Clubにおいてもキャリアカウンセラーの資格取得者が徐々に増えてきましたが、何故、採用担当者がキャリアカウンセラーを目指すのでしょうか?

採用担当者がキャリアカウンセラーの資格を取得する目的は多様ですが、以下のものが中心でしょう。

1.面接の応募者を見かねて:

毎日学生と接しているうちに、「もっとこう言えば良い面接になるのに」「もっとこう考えれば良い志望動機になるのに」「こんなことで日本の若者は大丈夫か?」という歯がゆい気持ちから見かねて応募者の支援側にたちたくなります。採用担当者には企業の能力開発者を兼ねている方も多いので、教育・指導的な見地になるのでしょう。

2.自分の仕事の幅を広げたい:

「採用担当者は季節労働者」とよく言われるとおり、年間を通じて同じような業務(母集団形成・採用選考・内定者フォロー)を繰り返すことが多く、そのためマンネリ化を感じて仕事に変化をつけたくなる方が居られます。特に向上心の強い方が、こんなに同じことばかりを繰り返していて良いのだろうか?と思われるようです。

3.自分の経験を活かして新たなキャリアを身に付けたい:

自分の仕事の幅を広げるだけではなく、それを自分自身の新たなキャリアとして仕事ができないか?と考える方も多いです。実際、Professional Recruiters Clubの中には、いつかは大学就職課で働きたいと考えている方も少なくありません。

4.必要性に迫られて:

新卒採用の早期化により学生の内定期間1年間近くに伸びてきており、辞退者防止対策、内定者教育等の新たな業務が発生してきています。それには学生の指向性やキャリア・プランを一緒に考える必要性があります。また即戦力の中途採用面接においては応募者の過去の経験を振り返ることが多く、キャリアカウンセリング型の面接スキルが求められます。

さて、こういった背景の元に採用担当者兼キャリアカウンセラーが増えてきているのですが、意外とその知識と経験を社外で活かす「場」がありません。日々の業務の中で活用する機会もあるのですが、そこには「採用担当者と応募者」という厳然とした関係があり、「クライエントとカウンセラー」とは似て非なるものです。

そこで新たな試みとして、Professional Recruiters Clubの中でチームを作り、相互の勉強会・情報交換会を行い、ご協力戴いている大学での就職ガイダンスのお手伝いを始めてみました。まだ試行錯誤を繰り返しているところですが、新たな学生のキャリア開発と採用担当者自身のキャリア開発とが同時にできればと思っています。活動状況についてはまた折りをみてこちらでご紹介して参ります。