第370号:大学と企業のリテンション活動

大学入試もほぼ終了し、変わって採用活動が始まりましたね。私の方にも既に教え子から「内々定を貰いました!」「就活終わりました!」という吉報が届いています。大学入試であれ、企業採用選考であれ、少子化の現代は合格を出せば終了ではなく、ちゃんと入社・入学して貰うためのリテンション合格辞退防止策)が重要です。

先日、大学構内で見知らぬ親子連れと雑談になりました。不安げに大学を見回りながら歩いていたのでお声がけしたのですが、いくつかの大学受験に合格し、何処に入学するか迷い、改めて各大学の入試広報部署を訪ねて相談に回っていたそうです。

ところが、何処の大学も職員が上手く説明できないし、知りたいデータもなく、途方に暮れていたそうです。大学はもっとリテンションに力を入れないといけませんね。合格した学生に、ちゃんと他大学(少なくともライバル校)との違いを把握して説明したいものです。旧来のローテーション人事を続けている大学ではそうした専門性を高めるのは難しいのでしょうけど。

私はいつもオープンキャンパスで保護者や高校生に、大学とは何か、学部の違い、校風・創立の歴史の違いについて話しているので、この親子の不安点に回答していたら、次から次へと質問が出てきて、結局、授業1回分の時間が過ぎました。(これは高校で行うべきキャリア教育かもしれませんね。)

結論は自分で出すものですが、不安そうだった高校生から笑顔が出てきました。意思決定のヒントを得たようで「先生の授業で再会できたら嬉しいです。」と言ってくれ、「他大学に行っても、どうぞ我が校に遊びに来て下さい。」と伝えて見送りました。これは教員としての言葉でもあり、大学OBとしての言葉でもあります。

さて、世間では就活シーズンが活発になってきました。企業でも、自社のことをちゃんと説明できる採用担当者はどれだけいるのでしょう?学生相手に話すには、自社の歴史・理念・現経営者の方針等、幅広い知識わかりやすい説明力が必要です。更に自社だけではなく、他社との比較の上で独自性・優位性をのべなければいけません。しかし、人事しか経験のない人は現場をあまり知りませんし、転職経験がない人は自社の強み弱みを意外と知らないことが多いです。

仕事柄、企業の採用説明を数多く聴いていますが、世間知らずの学生相手に「知ったかぶり」採用担当者が多いと感じることもあります。学生に志望動機を求める時は、「何故我が社だ?」と死ぬほど問うのに、自分が問われたら応えられるのでしょうか?

大学職員も企業採用担当者も勉強し続けなければいけませんね。自大学・自社のことを知るのはとても楽しいものですし、自分の大学・会社・町・国・世界を知れば自慢もできます。愛校・愛社精神を最初から持っている人など殆どいません。しかも、人は「知らない」と「向かない」を混同しがちです。

知識があれば感性が変わり行動が変わり、人生が変わります。そうした「縁つなぎ」は大学入試広報・企業採用担当者の大事な役割だと思います。