第221号:採用担当者セミナー三社三様

12月に入り採用広報が一斉に始まりました。採用担当者が各大学セミナーで忙しく飛び回っておりますが、いろいろな個性があって面白いです。採用担当者は会社の顔であり、良くも悪くも学生への印象を形成しますのでやり甲斐のある仕事です。先日、とある大学の合同セミナーで三社三様の個性を聴いてきましたのでご紹介しましょう。

 

理系の文系就職という主旨で行われたセミナーで、登壇された3社の採用担当者達は奇遇にも皆さん入社3年以内という若い方々でした。以下に簡単にそれぞれの個性をまとめます。

先発は有名大企業のA社です。勢いある話し方で「当社は文系も理系も関係ありません!」とビジネススケールの大きさを大声でアピールしている点は総合商社らしい豪快さです。聴講している学生は理系なので、日頃こうした勢いあるセミナーを聴く機会は少ないです。反面、個別の取り扱い製品やビジネスについての話は少なかったので、理系の強さを活かしたいと感じている学生には少々、物足りないと感じられたのではないかと思います。

 

中継ぎ中堅企業のB社は、A社とは対照的な落ち着いた話し方で、ビジネス規模よりも収益性や個別の商品について淡々と説明しておられました。理系の研究開発者向けのセミナーによくあるパターンです。学生には聴きやすい反面、ややインパクトに欠ける感じですが、ニッチな市場で技術者相手にクールな営業を希望する学生には好感をもたれると思います。丁寧な原稿を手元に用意されて読み上げるように話をされていましたが、最後に原稿ではなく個人の仕事観を話されていたのは印象的でした。

 

クローザーのC社は、学生が1時間以上も聴き続けて疲れ気味なところに気付かれ、いきなり「ストレッチしましょう!」と学生の気分転換から入られました。その後の説明で印象的だったのは、プレゼンテーションのスタイルです。A社が一方的にまくし立て、B社は受け身で淡々と説明するのに対し、C社は常に学生に軽い質問を投げてコミュニケーションをとりながら進めていきます。顧客に対し、提案型の営業をしたい学生に共感されたと思います。

 

採用担当者の盲点になりがちなのは、自分のプレゼンテーションが学生にどのように見えているのか気付きにくい点です。なかなか難しいのは、ターゲットとする学生は誰で、何をどうアピールするか、と絞り込む点です。万人に受けるプレゼンテーションというのはありませんから、そのメリハリが大事です。なので、こうした合同セミナーでは自社の特長や自分の個性に気付く良い機会です。

一般的に言って有名大企業ほどこうした点にわりと無頓着です。BtoB系の無名企業の採用担当者だった私もそうでしたが、合同セミナーでは特に知恵を絞って自社の魅力をアピールするプレゼンを考え、その駆け引き(?)に燃えました。

 

ところで、今回の3社の若い採用担当者の方々のプレゼンテーションはどれも個性があり好感がもてました。企業規模や業界特性などに関係なく、若い社員が自己流ながらも試行錯誤しながら現場で頑張っていること、それが何よりも就職活動中の学生へのアピールになるのでしょうね。採用担当者の先輩として、師走に全国を飛び回りはじめた後輩達にエールを送りたいと思います。

 

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