第114号:続けるべきか止めるべきか

いま、採用担当者がもっとも悩んでいる問題です。先日の新聞紙上では大手企業の4割が新卒採用を終了したと報じておりましたが、これは全国の企業数の1%にも満たない有名大企業の中の4割ということで、殆どの企業が採用活動をまだまだ継続中です。しかしながら今の環境を考えると、採用担当者が採用活動を続けるべきか止めるべきかでハムレットばりに迷っています。

 

ピークを越えたと言われる現在、採用・就職活動を続ける企業と学生の心境はどんなものでしょう?

▼企業の気持ち:

・良い学生はもう就職活動を止めてしまったのではないか?

・まだまだ採用枠はあるけれど、どうやって応募者を集めたら良いのかわからない。

・人出も足りないし、そろそろ来年(2009年卒採用)の準備をしないといけない。

⇒その迷いの原因は、何処に就活継続中の学生が居るのかわからない「出会い不能」の悩みですね。就職情報企業のデータからマクロな傾向はわかっても、その学生が何処でどうしているのかわからない、ということです。大学就職課でも最近はなかなか状況を把握できないのですから。

 

▼学生の気持ち:

・今の内定企業では納得できないけれど、昨年秋からずっと就活なのでもう1日も早く止めたい。

・まだ一つも内定がないが、もう疲れた(もう選考で評価されて落ち込むのは嫌だ)。

・魅力的な企業が見つかったのだが、今の内定企業に誓約書を出してしまって動けない。

・まだ続けたくても、採用活動を続けている良い企業が見分けられない(怪しい所が多いのではないか?)。

⇒こちらの原因は、何処に良い会社があるのかわからない「出会い不能」の悩みだけではなく、新たにゼロからチャレンジするのは辛いという心理負担もあります。早期に就活に取り組みながら、春先は人気企業ばかり回ってしまい、納得いく結果が得られなかった学生が陥りがちな心境です。

 

こうしてみてみると、この2者には出会いのミスマッチだけではなく、精神力のミスマッチも起きているのがわかります。企業は採用意欲満々でも、相手の学生は応募意欲が切れかかっているということですね。この双方の悩みはまだしばらく続くでしょう。

 

ところで大企業で意外と多いのが、「トップダウンで決まったので継続採用をやるしかない(現場はもう無理だと感じていても、形の上でもやっておかないとトップが納得しない)。」というケース。そういえば、かつてはリクルーター経由で採用活動の大半が終わっていても、対外的な世間体のために就職協定解禁日に自由応募の会社説明会を開く企業がありました。どちらも採用担当者にとってはトホホの不毛の仕事で泣きの声をよく耳にします。売り手市場でも買い手市場でも採用担当者の苦悩は尽きません。

 

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