第112号:就職活動の法律知識とモラル

GWも明け春先の選考で納得のいく企業から結果を出して貰った学生たちの内定辞退活動が盛んです。私が書いているネット上の掲示板でも、内定辞退についての記事へのアクセスが急増しています。これも売り手市場の影響だと思いますが、就職活動をしめくくるためにも学生さんには最低限の法律知識とモラルを身につけて戴きたいと思います。

学生側の売り手市場になり、企業の採用熱が急上昇すると同時に採用担当者の意識も相当に焦りが見えてきました。学生の誘因や囲い込み、そして入社の意思確認等、今季はだいぶ荒っぽい採用活動が増えてきます。特に急増するリクルーターについては、人事側の指導が十分でなかったり、また採用担当者の中にも法律知識(とモラル)を心得ていない輩が居るのも事実です。

採用した従業員に対して企業がキャリア自立・自律を求めているのは、社員が自分で自分の労働者の権利を守らなければならなくなった、ということです。故に就職する学生にも、冒頭に述べた内定辞退についても最低限の法律知識を身につけて欲しいと思います。私は数多くの大学で就職セミナーを行って参りますが、ご依頼内容の殆どは「自己分析」「模擬面接」「ビジネスマナー」等のハウツーに関するもので、残念ながら「就職活動に必要な法律知識とモラル」というテーマでご依頼を戴いたことはありません。また、そういったテーマのセミナーも寡聞にして存じません。(本来なら就職セミナーの一番初めに伝えるべきことだと思います。)

例えば内定辞退の法的な根拠だけではなく、アルバイトでもたまに目にする「残業代全額支給」や、人材紹介業でも目にする「応募者からは紹介料は戴きません」という文言があります。残業代は払うのが当たり前で払わないのは違法行為ですし、ふつうの有料職業紹介では応募者から紹介料を搾取するのも違法なのは、法律を知っていれば当たり前のことですし、知っておきたいことです。

これまでの日本は法律が出しゃばらなくても、モラルで解決できた社会なのですが、それがあらゆる所で崩壊し、巷間では信じられない事件・現象が起きています。世の中で働く殆どの労働者が労働法について知り得ないのは当然ですが、「知らない者が損をする」のが法律の世界でもあります。

私は学生に権利を主張するためだけの法律の知恵をつけるつもりは毛頭ありません。それは却って学生のためにもなりませんが、一人の社会人(労働者)として働くことの意味と責任を理解して欲しいと思うのです。大学全入時代を迎え学生の質も意識も変わり、以前であれば当然に身につけていた知識とモラルを改めて教育しなければならない時代です。卒業前の就職活動を通じて、本当の「教養」をもった社会人になってほしいと思います。

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